はじめに、感動の涙の嵐に包まれるような手紙を用意していたのですが、河野家のルールである妹の「えっ、やめた方がいいよ。なな嫌がるよ」の鶴の一声で急遽手紙を差し替えました。ノーマルタイプの内容ですので過度な期待はおやめください。(客笑)

改めまして、なな、17歳のお誕生日おめでとう。

あの日からもう4年も経つのですね。

第2回AKB48グループドラフト会議終了後、そのレッスンでお世話になったダンスの先生があなたにかけてくださった言葉を覚えていますか?

ななは悔しくて悔しくてまともに聞こえていなかったかもしれないね。

「合格できるポテンシャルとスキルは十分ある。でも今じゃなかったんだと思う。先生も悔しいけれど、でもね、その時は絶対に来るから、必ず来るから、だから磨いて。今じゃなかっただけだから。少し時期が早かっただけ」

母は感動しました。先生、いいこと言うじゃん (←関東人です)

虎視眈々とその時を待つことにしよう。その後、ななはオーディションを何回か受け、時は経ち、母は思いました。その時っていつやねん(客笑) 母は多少いらちです。あなたの悲しむ姿をこれ以上見たくなかったのです。

第3回ドラフト会議の開催が決まった時、あなたは最後まで受けるべきか悩んでいましたね。

気がつけば中学3年生。正直諦めてほしくなかった。でも花の受験生。大事な時期。オーディションはこれっきりではない。でもこの時、母にはあの先生の言葉が聞こえたんだよ。「今がその時なんだ。時は満ちたんだよ」と。

結果、応募したのは締め切り最終日。「やっぱり受ける。これで最後にするから」と言ってくれた時、本当に嬉しかったです。

まだ15年しか生きていないのに人より苦しんで、人よりたくさん悩んで、人よりたくさん努力して。母ならとっくに挫折しているなと思うな。いつも偉そうなこと言ってるけど、母は挫折のオンパレードだからね。何を挫折してきたかは、ななが成人してから語ろう。

何回諦めようが、人より回り道した方が時間がかかろうが、あなたは晴れて憧れだった夢のNMB48の一員になれたのです。心からおめでとう。

なんか今更のような気もしますが、もしかしたらおめでとうという言葉を気恥ずかしさから今まで一度も言ったことがなかったかもしれないのでこの場を借りて言わせていただきました(ハート)

加入してからも順風満帆というわけにはいかず、悩んでばかりだったね。思うように序列が上がらず落ち込む姿をよく見ました。

何がいけないんだろう。何が自分に足りないんだろう。どうしたら、どうすればと。

研究生の中で一番最初に公演に出させていただいたり、またぎ公演をさせていただいたり、ありがたい経験をたくさんして、その中で少しずつわかってきたこともあるでしょう。

例え後ろの方にいてもななの存在感を感じるようになりました。

そんな折、河野家を震え上がらせる事件が起きたのです。山本彩さんの卒業コンサートで、あの珠玉の名作「野蛮な求愛」を彩さんと同じステージに立たせていただくことに。家族総・彩ファンを自称する河野家が結成されて以来、一番のショッキングな出来事でした。家族でひっくり返りました。

万博の大きなステージで夕陽を受けて歌い、思いっきり楽しそうに踊るあなたを見て、私たちは涙が出ました。

まだ知名度が低く、研究生だったあなたがスクリーンに映し出された時、周りの人たちが「誰?誰?」とささやいていたのもつかの間、「凄いなぁ、やるなぁ」と感嘆の声を聞いた時、こんな誇らしいことはありませんでした。「はいはい、私親です」と挙手したくなったものです。(客笑)

そんなことをしたらSNSで広まってななに口を聞いてもらえなくなるので抑えましたが、どんなに大きな舞台でも緊張よりも楽しめることがあなたの強みだよね。

「楽しかった、またやりたい」と目を輝かせて興奮しながら話してくれたあなたは、あの日確かに誰よりも最高のアイドルでした。(彩さんを除く)

アイドルと言っても色々な形があるので、NMBはいま「可愛い」が大渋滞中ですよね。可愛い子は母の大好物ですが、我が子がその部類に入ることは想像を絶します。ななは違う種類のアイドルを極めていきましょう。そうしましょう。(客笑)

髪の毛をバッサリ切って、イメチェンをして、見た目も含め、あなたのこれからが変わっていく様子が楽しみで仕方ありません。

「昇格がゴールじゃない」今日もあなたは考えるでしょう。どうしたら?と。

でも楽しむことを忘れないで、心がくじけそうになった時、行き詰まった時、万博で見た夕陽を思い出してください。まだまだこれからも突き抜ける奈々帆を見せてくれることを老後の楽しみにしています。

それでは最後に、元気の出る合言葉を。

「ぶっちぎって花咲かせようぜ!」

最後になりますが、日頃支えてくださるスタッフの皆さん、仲良くしてくださるヘアメイクの皆さん、頼りになる親愛なるメンバーの皆さん、ありがとうございます。

そして何よりもこの素晴らしい生誕祭を企画準備開催と尽力してくださった親愛なるファンの皆さん。皆さんがいなければ奈々帆はまずこの場にすらおりません。

第3回AKB48グループドラフト会議で奈々帆をNMB48の選んでくださり本当にありがとうございます。奈々帆のアイドルとしての歴史の1ページ目はあなた方です。言葉足らずで見た目とは違いまだまだ子供でハラハラさせることもあるでしょうが、そんな時は皆様が私たち親の代わりに叱咤激励してくださればこんなに心強いことはございません。

河野奈々帆というアイドルのピースを、時間がかかるかもしれませんが共に積み上げてくだされば嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします。

母より

(2019年5月18日 NMB48劇場 チームN「N Pride」公演)