松村香織ちゃん

2016年の生誕祭で一度手紙を書きました。こうして今日またかおたんに手紙を書く日が来るなんて思わなかったよ。

9月の卒業発表から約半年。いつ辞めるの? まだいるの?って言葉が飛び交うことも少なくなかったけど、そう言って笑いあえるのもなんだか楽しくて、卒業コンサート、最後の握手会、最後の撮影、最後の○○っていうのが増えてきて、ついに来月の予定にはかおたんの名前が入ってこなくて、「あのイベント楽しみだね」とかも言い合えなくなることが寂しかったです。

9年間、歌や踊りが苦手なかおたんが唯一自分の武器として手に入れた個性や発想力や独創力、私にも、そしてどのメンバーにも真似できない形でSKE48の新しい入り口をたくさん作ってくれました。

周りと違うことをやって批判された時も、うまく嵌って絶賛された時も、どんな時もそばで見ていたけれど、いい時も悪い時もその度に大きなプレッシャーに悩まされて追い込まれて、禿げたり痩せたり、私たちにも知らない悩みをたくさん抱えて今日まで色んな逆境を乗り越えてきた姿がこんなにもキラキラ輝いて見える今が心の底から本当に嬉しいなって思います。

かおたんは6期生やドラフト1期生、研究生時代にはたくさんの後輩を育ててきたことは有名な話ですが、先輩である私にもたくさん力を貸して、チームに寄り添ってくれました。

私が研究生になって、後輩なのに年上だという絶妙な立場で最初は「真木子さん」と呼ばれていたはずですが、当時の私たちを否定することなく、時には「いつメン、いつメン」といじってくれて、降格した私たちの居場所を作ってくれました。 (ざわざわ)

私たちの暗黒時代を今こうして笑って話せるようになったのも(客笑) かおたんのおかげです。

そんないつメンの生き残りも来月からはついに私1人になりました。

笑って話してくれるかおたんもいなくなってしまうので、また入ってきた後輩が「真木子さんって何で研究生になっちゃったんですか?」と目の前でネット検索をされちゃうのはどうしようかなって思ってます。(客笑)

でもあの頃を本当に青春時代だと心から思ってるから、話せる仲間がいなくなるのは本当に寂しいな。

当時のSKE研究生から唯一選抜総選挙にランクインしたことは私たちの本当に誇りでした。ステージに立つかおたんが初めてかっこいいと思えた。

そこから火がついたかのように、私たちの研究生公演がたくさんの方に評価されるようになり「今一番熱い公演がSKE研究生だ」と言われるようになって本当に嬉しくて嬉しくて、調子に乗って「会いたかった」公演と「PARTYが始まるよ」公演の2公演を同時進行なんてやってたね。

研究生になってしばらくはふてくされて、人生のどん底だった私たちを救ってくれたのはかおたんをはじめとする当時の3、4期研究生。そしてどれだけ檄を飛ばしても有無を言わさず死に物狂いでついてきてくれた5期研究生のみんなでした。あの時があるから今の私があると言っても過言じゃありません。感謝してもしきれないです。本当にありがとう。

それから何年もの月日が経っても、いつも頑固で考え方が一通りしかなく、頼る場所が見つからない私にいつも手を差し伸べてくれて、一番いい方法を一緒に考えて、時には夜中まで話を聞いてくれたこともあったね。

かおたんの前でなら素直に涙を流すこともできたし、どんなに理不尽でやるせない自分の気持ちにも整理をつけることができました。

優しい言葉はもちろん、時にはきつく叱ってくれて本当に感謝しています。

プライベートの面でも、14歳でこの世界に入った世間知らずで金遣いの荒い私をいつも気にかけてくれました。

まぁ私以外にも手にかかる人はいたと思うけど、それでもいつもみんなが頼る先はかおたんでした。

かおたんがSKE48を大好きなまま卒業してくれるのが本当に嬉しいです。中にはきっとこの世界の理想と現実に苦しんで思うようにアイドル人生が進まず、夢を半ばで諦めてしまうメンバーもいる中、自分の可能性を信じて最後の最後までアイドルを余すことなく堪能した姿は本当に誇らしいです。

かおたんの穴は簡単に埋まるはずないけれど、いま一度ここでみんなで力を合わせてこの壁を乗り越えなければいけない、ある種の試練だと思っています。

これからもこのグループは大きくなっていくだろうし、メンバーもたくさん増えていくだろうけど、私もワカテガチュウに負けないように頑張るね。

明日からもずっとずっと、おばあちゃんになってもよろしくお願いします。

かおたんの更なる幸せを心から願って、9年間お疲れ様。卒業おめでとう。

斉藤真木子より

(2019年5月2日 SKE48劇場 チームKII「最終ベルが鳴る」公演)