誕生日に思う

おじいちゃん

生け花の梅、つぼみが膨らみかけていた。

千尋の母親から22歳の誕生日に何か気づいたこと、伝えたいことを頼まれたのだが、テレビや雑誌の活躍は見ていても一度もその活動を実際に見たことがないおじいちゃんだった。せめて気持ちだけでもとペンを走らせた。

当時は華やいだ世界には気性が合わないだろうと反対したかった。なぜって? 光と影、明と暗。区別のつかないドラマがそこにあった。

いつまで待とう、憧れはいずれ消えていくのに、と。このままでいいのだろうか。世のため、人のため。明日は我が身。これからが大事。おかげさまを抱いて、これからが大事なのだ。

こんなこともあった。気づかされた。千尋を車で駅まで送る時、いつも「お願いします」と言ってくれる。人を思う気持ちがアクセルを踏み、安全運転にてハンドルを握る。一歩ずつ大人になってきた。車を降りるなり、「ありがとう」と。

手を振る後ろ姿を見送っていた。私は思う。咲けばいずれ散る我が身。確かな香りを確かめながら目的地へと進む千尋。

そして人との出会いが人生を変える中で、「おかげさま」を忘れてはいけない。心に手を。ありがとうと思う気持ち、抱きしめながらそう願っていた。

スタッフ、関係者、周りの人たちの温かい指導、応援を受けながら誕生日を迎えることができます。ありがとうございます。

誕生日祝って、おじいちゃんから心のプレゼントと致します。おめでとう。

(2020年12月19日 NMB48劇場 川上千尋 生誕祭)