ゆうちゃんへ
28歳のお誕生日おめでとう!
意外にも私がゆうちゃんにお手紙を書くのはこれが初めてみたいで、AKB48のメンバーとして迎える最後の誕生日にこうして書かせてもらえること、嬉しさと寂しさが半々のような気持ちです。
ゆうちゃんと仲良くなったのは20歳の時だから、もう7、8年も前になるんだね。
研究生、峯岸チーム4、でんでんむChu!、なんなら高校のクラスまで一緒だった私たちだけど、その頃は人見知りでストイックな先輩のゆうちゃんをどこか遠い存在だと思っていたから、なかなか距離を縮められず、話す内容と言えば「ベイマックスが好き」ってことぐらい。
仲良くなったきっかけは、完全にお酒の力でしたね。
ゆうちゃんはいつだって、どんな私も肯定して受け入れてくれるから、なぁもぎには怒られそうなこともゆうちゃんには話せたりして、気づけば一緒にYouTubeをやるくらいのマブになっていました。
毎日のように4人で集まって笑い転げたあの時間は紛れもない青春だったな。
だけど、同じ時代を過ごしてきた仲間達の卒業を数え切れないほど見送っていく度に、どんどんと変化していくAKBの中で心細い気持ちになっていたのは、私もゆうちゃんも同じだったと思います。
それでもゆうちゃんはたったひとり変わることなくこの劇場に立ち続けてた。
そのAKBらしい生き方と存在そのものが、私にとってはもちろん、きっと周りのメンバーやファンの皆さんにとっても心の支えでした。
そんなゆうちゃんもついに旅立つ日が来たんだね。
ステージに立ってるゆうちゃんはいつも別人のようだけど、あの卒業コンサートで目の当たりにした圧倒的な輝きは、どんなに手を伸ばしても届かないくらい遠くて、私はこんなにも凄い人と一緒にいたんだと改めて感じさせられました。
でもね、ふと思ったの。最初は、ただひたすらに歌って踊ることが大好きな1人の女の子だったはずが、その姿に心を打たれる人の数が増えれば増えるほど、いつしか自分のやりたいことをやるだけではいられない日の方が多くなって、時には自分自身さえも追いつけないくらい『ゆいりー』というアイドルが大きくなりすぎてしまった時もあったんじゃないかな。
それなのになぜゆうちゃんは、そんな想いも葛藤もすべて輝きに変えて舞台に立ち続けられたのか。それはずっと、誰かのために生きてきたから。
13年半ゆいりーでい続けてくれたあなたに、明日から始まる村山彩希としての人生は、どうか自分のことを一番に考えて、幸せになって欲しい。
だけど、きっとゆうちゃんはいつものように「私のことはいいから」と笑って、自分の幸せより誰かの幸せを願ってしまうでしょう。
それなら、「ゆうちゃんが幸せになることが、あなたのことを愛する皆の幸せ」だと、私が何回でも言い続けます。だからずっとそばにいさせてね。
28歳、新たな始まりの1年。
私も明日からは1人の親友として、今までとは全く違う思い出のページを増やせることを楽しみにしてるよ。
そして、ゆいりーの名前が歴史にも、人々の記憶にも残ることを願っています。
向井地美音より
(2025年6月15日、AKB48劇場、「ここからだ」公演)