楓、お誕生日おめでとう。

19歳の楓がアイドルになって、こんなにたくさんの人にお祝いしてもらうなんて想像もしてませんでした。

思えば幼稚園の頃から楓の夢はアイドルになることでしたね。おもちゃのマイクで歌をうたったり、公園のステージでダンスを披露してくれたり本当にキラキラしていました。

だけど小学5年生の時に引っ越し、転校をして、なかなか新しい学校に馴染めず、つらい思いをさせてしまいました。

中学高校とあなたは本当に真面目に学校生活を送っていて、いつしかアイドルになるということを口にすることもなくなり、「地元で就職して早く親孝行をして家計を助けるからね。お給料をもらったら17匹の猫のためにキャットタワーを買ってあげたい」なんて言ってくれるようになりましたね。

高校では簿記電卓部で全国大会に出場したりとか日商簿記2級などたくさんの資格を取ってコツコツと努力を積み重ねてきました。

その結果が実って高校からの推薦で地元で一番いい就職先に内定をもらって家族で皆でお祝いしましたね。この先も楓とはずっと一緒にいるんだなと思っていました。

そんな楓が高3の秋に突然「アイドルになるという夢を叶えられるのは最後かもしれない」と、驚くほどの行動力でオーディションへ向かった時はアイドルへの夢や憧れはずっと心に秘めたまま消えてなかったんだなって嬉しかったよ。

本当はそれまでも何度もオーディションに応募していたこともママは知りませんでした。楓の気持ち何も理解してなかったなと反省してます。

自分で夜行バスを予約して11時間かけて名古屋に行きましたね。

初めての名古屋、たった1人で道に迷ってオーディション会場まで2時間歩いたと聞いた時はママに似て方向音痴を受け継いでるなって申し訳ない気持ちになりました。

そしてまさかのオーディション合格。最終審査まで残った時は「ここまで来たら合格してほしい」という思いと「合格したらどうしよう」という複雑な思いでドキドキしながら結果を待っていたのを思い出します。

でもそこからは本当に大変でしたね。

就職内定を辞退するということがどれだけ大変なことか楓もパパもママも何もわかっていませんでした。

学校に呼び出されること5回。行く度に先生の数が増え、その度に考え直すように説得され、ママは初めて内定を断ることの重大さを知りました。

「学校始まって以来の前代未聞の事件だ」とまで言われましたね。

だけど楓は毎回泣きそうになるのを堪えながら目に涙をいっぱいに浮かべながら自分の意思を貫き通したね。

担任の先生、学年主任、進路指導主任、教頭先生、校長先生を前にして一歩も引かずに自分の覚悟を一生懸命に伝えました。

ママは先生方の迫力に圧倒されて何も言えなくてごめんね。

最後は先生方も納得してくれましたが、その時に背負った責任と覚悟は一生忘れないでください。あなたはアイドルを選んだことでたくさんの人に迷惑かけたこともまた事実なのだから。

12月になって慌ただしく名古屋に引っ越し、あまりに急展開でもう何が何だかわからない日々でしたが12月31日のお披露目に行くことができて凄くキラキラしている楓を見ることができて本当に嬉しかったよ。

人がたくさんいてママはキョロキョロしすぎで挙動不審だったかも。

そして地元を離れて半年が過ぎました。田舎から出てきて初めての1人暮らし。希望よりも不安の方が大きくって最初のうちは毎晩泣きながら電話をしていましたね。あっ、それは今もかな。

ダンス経験もなく運動をやっていなかったあなたの武器はとにかく真面目なこと。振りの映像を見ても覚えられないからとノートに立ち位置の動きや手の振り、指の動きまでびっしりと書き込んで夜中まで練習したり、本当に頑張っていると思います。

時間はかかっても真面目に積み重ねた努力はきっといつか花を咲かせてくれるから、今はどんなに苦しくても結果が出なくても決して腐らず諦めずコツコツと努力を重ねてください。絶対楓なら大丈夫。両手百握りの手相を持ってるしね。

田舎もんでもダンスが苦手でも努力すればアイドルとして輝けることをこれから楓が証明していってくれることを心から願っています。

楓はママの誇りです。悔いのない楓の人生をこれからも精一杯歩んでね。

最後に。こんな素敵な生誕祭を開いてくださったファンの皆様、スタッフの皆様、先輩の皆様、そして同期の皆様、今日は本当にありがとうございます。たいした取り柄もない田舎の娘ですが、アイドルへの思い、SKEへの思いはどこまでも純粋で真っ直ぐに持っています。どうかこれからも娘を支えてあげてください。よろしくお願いします。

ままにゃんより

(2019年7月12日 SKE48劇場 「青春ガールズ」公演)